ネット空間で独特の言葉遣いと幼いキャラクターを演じ、男性たちを幻惑していた「りりちゃん」。その戸籍上の名前は渡辺真衣、生年月日は1998年(平成10年)3月3日である。ひな祭りの日に生まれた彼女は、20代後半を迎えた。
画面越しに見せていた無邪気なアニメ声や奇抜なファッションとは裏腹に、彼女の背負っていた現実は過酷そのものだった。地方の機能不全家族のもとで育ち、十代半ばで居場所を求めて上京。職を転々としながら新宿・歌舞伎町へと流れ着いた頃には、すでに頼れる身内も金もなかった。SNS上で作り上げた「魔法少女」のような非現実的なペルソナは、現実の過酷さから逃避するための防毒マスクだったといえる。