郊外の大規模ショッピングモールであれば、フロアの一角に数百席規模の客席と多彩なチェーン店が集結するフードコートが定番です。しかし、二子玉川ライズにも玉川高島屋S・Cにも、そうした従来型の大型フードコートは作られていません。この構造には、二子玉川という街特有のブランディング戦略が深く関係しています。
二子玉川は、洗練された「水と緑と光」の景観と上質なライフスタイルを掲げて再開発が進められた街です。施設側は、1箇所に大量の客席を集約して回転率を高めるファストフード主体の空間設計ではなく、「開放的なテラス空間の活用」や「個性豊かな独立型レストランの誘致」を優先しました。
さらに、駅直結の「二子玉川ライズ レストラン街」やドッグウッドプラザ、高島屋の各館に飲食店を分散配置することで、街全体の回遊性を高める設計が採用されています。大箱のフードコートがない代わりに、街全体がシームレスなダイニング空間として機能するよう工夫されているのです。