従来の栄養学は、カロリー、脂質、糖質、ビタミンといった個別の栄養素ばかりに注目してきた。しかし、そのアプローチに決定的な疑問を投げかけたのが、サンパウロ大学のカルロス・モンテイロ教授だ。彼が率いる研究チームは、食品が「どのように作られたか」という加工の度合いに着目し、世界的な基準となる「NOVA分類」を提唱した。
NOVA分類は、すべての食品を4つのグループに明確に分ける。グループ1は野菜、肉、卵などの「未加工・最小限の加工食品」。グループ2は植物油や砂糖、塩などの「加工用調理素材」。グループ3は魚の缶詰や伝統的なチーズ、手作りパンといった「加工食品」。そして問題視されるグループ4こそが、工業的プロセスを何段階も経た超加工食品である。
巨大な食品加工産業は長年、安価な農産物から抽出した油脂や糖分を再構成し、日持ちがよく輸送しやすい製品を市場に流通させてきた。しかしモンテイロ教授の研究は、肥満や慢性疾患の急増が単なる「自己責任の過食」ではなく、加工度の極めて高い食品が日常を侵食した構造的な結果であることを暴いた。