あの日の衝撃を覚えているファンは多いだろう。中学生最後となる都道府県対抗女子駅伝。わずか3キロの区間で記録した驚異的なごぼう抜きと、異例区間新記録。瞬く間にメディアの標的となり、全国のお茶の間にその名が浸透した。
だが、真のドラマはその後にあった。過熱する取材フィーバーやSNSでの騒悪な注目に対し、彼女と周囲の指導陣が選んだのは「守り」ではなく「自律」だった。地元・岡山で着実にトレーニングを重ね、一つひとつのレースを厳選するスタンス。それは、短性的な話題性で終わらせず、10年単位で世界のトップと戦うための冷静な戦略だった。