全国の公立美術館を見渡しても、これほど繁華街の胃袋のような場所に根を張った施設は極めて珍しい。多くの美術館が緑豊かな郊外の公園や小高い丘の上に隔離されるなか、この場所はあえて生活の雑踏を選び取った。傘を差さずに立ち寄れる利便性は、日常の延長線上にアートを引きずり下ろすための周到な装置でもある。
1949年の開館以来、幾度の改修を経て進化を遂げてきた歩みは、そのまま地方自治体の文化政策における闘争の歴史そのものだ。高度経済成長期の熱狂からバブル期の大型収集、そして現代に至るまで、コレクションの軸足は決してブレることがなかった。「いま、ここで何が起きているのか」を問い続ける姿勢が、都市のアイデンティティを根本から形作っている。