授乳中に薬を口にする際、最も気になるのが抗ヒスタミン薬の母乳移行です。母体が摂取した薬剤成分の大部分は肝臓や消化管で代謝され、血液中を巡るごく一部が母乳中へ浸透します。医学的な指標である「乳児相対投与量(RID)」において、母親の服用量の10%未満であれば乳児への影響は臨床上ほぼ無視できると国際的に合意されています。
日本国内における母子医療の最高峰である国立成育医療研究センターの「授乳中に安全に使用できるとされる薬」リストにおいても、アレルギー性鼻炎治療薬の多くが安全に使用できる薬剤として分類されています。特に近年の臨床研究では、適切に選択された花粉症薬が赤ちゃんの成長や発達に悪影響を与えたという明確な証拠は報告されていません。薬の影響を心配して日常生活が立ち行かなくなるまで我慢するよりも、安全性の高い薬剤を正しく用いて母体の健康と笑顔を維持するアプローチが、現代の小児科・産婦人科における共通認識となっています。