昭和から平成にかけて部活動の現場などで広く信じられていた「突き指をしたら引っ張って関節を戻せ」という処置は、現代のスポーツ医学において百害あって一利なしの危険行為として完全に否定されています。関節周辺の組織がダメージを受けている状態で強い牽引力をかけると、微小な断裂にとどまっていた靭帯を完全に引きちぎったり、関節包を破壊して内出血を拡大させたりする原因になります。
特に骨折を伴っていた場合、引っ張る力によって骨片が大きくずれ(転位)、本来ならギプス固定で治せたはずのものが全身麻酔による観血的手術(プレートやワイヤー固定)へと重症化するリスクが跳ね上がります。「関節が外れかけた感覚があるから引っ張る」という素人判断は絶対に避け、触らずに安静を保つことが鉄則です。