鏡を見ているときは脳が無意識に表情を補正するため気づきにくいものの、反転写真や他者からの視線では明確に浮き彫りになるのが顔の左右差原因の厄介な特徴です。解剖学的に見て、顔面部は22個の頭蓋骨が複雑に組み合わさり、その上を表情筋や咀嚼筋、筋膜が覆っています。この繊細なバランスが崩れる背景には、大きく分けて3つの要因が存在します。
第一に挙げられるのが「咀嚼筋の左右アンバランス」です。食事の際に無意識に決まった側だけで噛み続ける「片側噛み」を続けていると、使っている側の咬筋や側頭筋ばかりが異常に発達し、エラが張ってフェイスラインが外側に肥大化します。一方で、使われていない側の筋肉は弛緩して皮膚が下垂し、口角の高さや頬の位置に歴然とした落差が生じるのです。
第二は「頚椎から骨盤にかけての姿勢の歪み」です。人間の身体は頭部を水平に保つために全身で代償運動を行います。猫背や脚を組む癖、片肩にだけ重い荷物をかける習慣によって骨盤が傾くと、背骨を経由して首の筋肉(胸鎖乳突筋など)が引っ張られ、下顎骨(あごの骨)が左右どちらかへ回旋・偏位します。つまり、顔の歪みは首から下の歪みの最終結果として現れているケースが極めて多いのです。
第三に、歯列の乱れや噛み合わせ顔の歪みが関与している構造的要因です。上下の噛み合わせが数ミリずれているだけで、下顎頭(下顎の関節突起)が関節円板を圧迫し、顎関節症を引き起こしながら顔全体を非対称へと変形させていきます。