川魚の生食における最大の懸念は、寄生虫による健康被害です。鮎の生食において最も警戒すべき存在が横川吸虫(よこがわきゅうちゅう)と呼ばれる体長1〜1.5ミリメートルほどの小さな吸虫です。厚生労働省や各自治体の保健所が発行する食品衛生資料でも、淡水魚由来の代表的な寄生虫症として注意喚起がなされています。
横川吸虫の幼虫(メタセルカリア)は、天然の河川に生息するカワニナ(巻き貝)を経由して鮎の筋肉やウロコの下に寄生します。寄生された天然鮎を加熱不十分な状態や生の刺身として人間が摂取すると、幼虫が小腸の粘膜に侵入して成虫になります。
感染した場合、少数寄生であれば無症状で経過することもありますが、多数寄生した場合には激しい下痢、慢性的な腹痛、消化不良、体重減少といった消化器症状を引き起こします。アニサキスのような劇症の激痛とは性質が異なるものの、腸粘膜の炎症が長引くリスクがあるため、決して侮ることはできません。