そもそも、なぜ「了解」を目上の人に使うことが忌避されるのか。その根底には、漢字の意味合いと歴史的な使われ方の違いが存在する。「了解」という言葉は、「物事の内容や事情を理解し、それで承認する」という意味を持つ。ここに含まれる「承認する」というニュアンスこそが最大の問題なのだ。立場が上の者が下の者に対して「了解した」と許可を与える構図が前提にあるため、部下から上司に向かって使うと、無意識のうちに「上から目線」の印象を与えてしまう。
一方で「承知」は、「引き受ける」「事情を知る」という意味のへりくだった表現だ。自らを低く置き、相手の指示や依頼を尊重して受け入れる姿勢が言葉そのものに組み込まれている。したがって、「承知いたしました」や「承知しました」と表現することで、目上の相手に対して完璧な敬意を示すことができる。この言葉の持つ本質的な視点の向き(上から下か、下から上か)を理解することが、混乱を避ける第一歩となる。