ネット上の情報で定番とされているケア手法の中には、現代の創傷ケア医学において否定されつつあるものや、適用を誤ると逆効果になるものが存在します。その代表格が「ドルマイシン軟膏の軟骨ピアスへの常用」と「ホットソーク(温塩水浸漬)」です。
市販の抗生物質入り軟膏であるドルマイシン軟膏は、細菌感染が明らかな初期段階で短期間塗布するには一定の効果があります。しかし、「消毒代わり」として毎日塗り続けると、油膜がピアスホールを密閉して酸素を好まない嫌気性菌の温床を作ったり、常在菌バランスを崩して耐性菌を誘発したりします。ピアスホールを清潔に保つ基本は、毎日の入浴時に低刺激石鹸の泡を乗せてシャワーの微温湯でやさしく洗い流す「泡洗浄」のみで十分です。
また、天然塩をぬるま湯に溶かして浸す軟骨ピアスのホットソークは、体液と同じ0.9%の生理食塩水濃度を正確に再現しなければ組織脱水や刺激を招きます。肉芽の初期消退に効果を示す事例もありますが、急性期の強い炎症や化膿状態で行うと血流促進により激痛と腫れを増悪させるため、万能薬ではないことを理解しておく必要があります。
【プロの結論】軟骨ピアスに向いている人・慎重になるべき人の判断基準- おすすめできる人:半年から1年以上の長期ケア計画を立てられる人、就寝時の姿勢や衛生管理を徹底できる人、異常時に速やかに医療機関を受診する判断力を持つ人。
- 慎重になるべき・避けるべき人:コンタクトスポーツなど耳に日常的な衝撃が加わる競技者、職場や学校で短期間でのピアス着脱を強いられる環境にある人、ケロイド体質を持つ人。