道重さゆみが発揮した統率力は、現代の組織心理学における「サーバント・リーダーシップ(支援型リーダーシップ)」の先駆的事例といえます。従来の絶対的な上下関係やスパルタ指導ではなく、後輩メンバー一人ひとりの長所を細かく観察し、ブログやメディアで絶賛することで、加入したばかりの9期・10期・11期メンバーの自信を急速に育て上げました。
象徴的なのが、メディア出演時に発信し続けた数々の言葉です。「今のモーニング娘。が一番かっこいい」「モーニング娘。は道重さゆみとバックダンサーじゃない」といった発言は、看板である自身を前面に出しつつも、グループ全体の価値を世間に認めさせるための高度な心理的メッセージでした。自身を愛し、それ以上にグループと後輩を愛するという一貫した態度は、メンバー間の結束力を飛躍的に高めました。
その真価が極限の状態で証明されたのが、2014年11月26日に開催された横浜アリーナでの卒業コンサートです。公演終盤、右足の激しい肉離れに見舞われ立ち上がれなくなるアクシデントが発生した際、彼女はセンターステージに倒れ込みながらも完璧な笑顔で歌唱を継続。後輩たちが瞬時にフォーメーションを変更し、リーダーのピンチをカバーし合う姿は、彼女が培ってきたチームビルディングの集大成として語り継がれる伝説の瞬間となりました。