猫が何かをクンクンと熱心に嗅いだ後、ピタリと動きを止めて上唇をわずかに巻き上げ、口をポカーンと開ける仕草。ネット上では「猫の変顔」として親しまれていますが、この現象はドイツ語の「Flehmen(上唇をめくり上げる)」に由来するフレーメン反応と呼ばれる生理現象です。
多くの人が「自分の靴下の悪臭に猫がドン引きした」と勘違いしがちですが、猫は決して悪臭にショックを受けているわけではありません。むしろその逆で、「この匂いにはどんな情報が含まれているのか、もっと詳しく知りたい」という強い興味と集中によって引き起こされる行動です。
猫の嗅覚は人間の数万倍から数十万倍とも言われますが、通常の鼻呼吸だけでは捉えきれない微細な化学物質(特にフェロモンなど揮発性の低い成分)を詳細に解析するために、あえて口を開けて専用のセンサーへと空気を送り込んでいます。あの呆然としたような表情は、脳内で膨大なデータを受信・処理している「超集中状態」の表れなのです。