検索エンジンで「二条市場」と入力すると、関連ワードに「高い」「地元民 行かない」「ぼったくり」といった不穏な単語が並びます。公式発表資料や市場の歴史を紐解くと、かつては「市民の台所」として機能していた二条市場ですが、なぜこのような評価が生まれたのでしょうか。現場の構造を分析すると、3つの明確な理由が浮かび上がります。
第一の理由は、「日常消費」から「観光特化型プレミアム市場」への業態シフトです。札幌市民が普段の夕食の食材を買う場合、郊外の大型スーパーや生協、卸売スーパーを利用するのが経済合理的です。二条市場に並ぶのは、最高ランクのウニ、茹でたての一本買い毛ガニ、大粒のイクラなど、贈答用やハレの日のごちそうとして流通する特上ランクの海産物が中心です。日常使いの価格帯と乖離しているため、地元住民が普段の買い物で足を運ばないのは自然な現象といえます。
第二に、札幌中心部という一等地のテナントコストと利便性プレミアムが挙げられます。大通駅やすすきの駅から徒歩数分という抜群のアクセスを誇るエリアであり、輸送コストや店舗維持費が価格に反映されます。これを「観光地価格=ぼったくり」と捉えるか、「中心街で移動時間をかけずに極上の海の幸を味わえる対価」と捉えるかで評価が真っ二つに分かれます。
第三に、SNS等での価格期待値のズレがあります。「市場=安くて山盛りの魚が買える場所」という昭和の卸売市場のイメージを抱いて訪れると、一杯4,000円〜6,000円を超えるプレミアム海鮮丼のメニュー表を見て割高感を覚えてしまいがちです。決して法外な不正請求(ぼったくり)が行われているわけではなく、提供されるネタの原価と立地コストに基づいた正規の価格設定です。