春先になると「春一番」が吹いた後、メディアなどで「春二番」「春三番」という言葉が使われることがあります。これに対し、秋の木枯らしでは「木枯らし2号」「木枯らし3号」という公式発表はおろか、日常会話でも耳にすることはありません。これには、大気現象の構造的なメカニズムと生活実感が関係しています。
報道関係者や気象予報士への取材によると、最大の理由は「冬型気圧配置の日常化」にあります。春一番は、冬の寒さから春へと向かう季節の過渡期に、低気圧の発達によって一時的に南から吹き込む異常な暖温強風です。台風並みの突風や海難事故・雪崩などを誘発するリスクが高いため、気象防災上の注意喚起として「何回吹いたか」が注目されます。
一方、木枯らし1号は「冬の扉を開ける合図」に過ぎません。一度西高東低の気圧配置が完成すると、その後は数日おきに強い冷たい北風が吹き荒れるのが日本の冬の通常の気候パターンとなります。つまり、2回目以降の木枯らしはもはや特別な現象ではなく「日常の冬の寒風」となるため、あえて2号や3号とナンバリングして発表する実用的な意味がないのです。