事件が起きたのは、両者にとって2度目の対決となった「サウンド・アンド・ザ・フューリー(The Sound and the Fury)」と銘打たれたリマッチでした。前年1996年11月の第1戦で、タイソンは下馬評を覆されて11回TKO負けを喫しており、王座奪還を期してリングに上がったのです。
試合開始からホリフィールドは強烈なフィジカルとクリンチワークを駆使し、タイソンの前進を封じ込めます。不穏な空気が漂い始めたのは第2ラウンド。激しいもみ合いの中でホリフィールドの頭部がタイソンの右眉の上に激突し、タイソンは深い裂傷を負って流血しました。タイソンは主審ミルズ・レインに対し、故意のヘッドバットだと激しくアピールしたものの、レフェリーは偶発的な事故と判断して試合を続行させます。
そして迎えた第3ラウンド残り40秒、クリンチの瞬間でした。マウスピースを外していたタイソンは、突如としてホリフィールドの右耳上部に噛みつき、軟骨の一部(約2.5センチ)を食いちぎってリングキャンバス上に吐き捨てたのです。激痛に飛び跳ねて背を向けたホリフィールドに対し、主審はタイソンに2点の減点を科して試合を再開させました。
しかし再開直後、タイソンは再びクリンチの隙を突いてホリフィールドの左耳にも噛みつきます。ラウンド終了後、ホリフィールド陣営の抗議と負傷箇所の確認を経て、主審ミルズ・レインはタイソンの反則失格(DQ)を宣告。激昂したタイソンはホリフィールド陣営や警備員に殴りかかり、機動隊や警察が出動する前代未聞の大暴動へと発展しました。