健康診断の判定で「肺に異常陰影」「要精密検査」の判定が出ても、日常生活で何の不調も感じていないケースは珍しくありません。この「無症状」という状態こそが、呼吸器の解剖学的特徴を物語っています。
肺そのもの(肺実質)には、痛みを感じる知覚神経(痛覚受容器)が存在しません。そのため、肺の奥深くに数ミリ〜数センチの病変が生じても、咳を誘発する気管支の粘膜や、痛みを感じる胸膜(肺を包む膜)に触れない限り、違和感すら覚えない仕組みになっています。
これが、初期の呼吸器疾患や肺がんで自覚症状がほとんど出ない根本的な理由です。「痛くないから誤診だろう」「元気だから再検査は受けなくていい」と自己判断してしまうのは、極めて危険な誤解につながります。