インターネット上の掲示板やSNSで定期的に浮上するのが、「子どもの頃、忍たまのエンディングがなぜか怖かった」という体験談です。子ども向けアニメのエンディングに対して、なぜこのような印象を持つ人が少なくないのでしょうか。現場の映像演出と当時の放送状況を検証すると、3つの明確な要因が浮かび上がってきます。
1. 「忍たまえかきうた」と初期アニメーションのシュールさ
第12シリーズなどで放送された「忍たまえかきうた(しんべヱの段など)」は、キャラクターの輪郭を独特のリズムで描いていく内容でしたが、簡素な線画から徐々に実体化していくプロセスや、モノトーン基調の背景が、幼少期の視聴者に「不気味さ」「得体の知れなさ」として映ったケースが報告されています。尼子騒兵衛先生の描く原画のシュールな味わいが、テレビ画面越しに特異な緊張感を生んでいたと言えます。
2. 「ヘムヘムのワルツ」に見る前衛的な音響演出
第11シリーズの「ヘムヘムのワルツ」は、ショパンの名曲『子犬のワルツ』を全編ヘムヘムの鳴き声(CV:松尾銀三さん)だけで歌い上げるという極めて実験的な試みでした。クラシック音楽の重厚なピアノの旋律に、ひたすら「ヘムヘム」という声がリフレインする構成は、夕暮れ時の薄暗い部屋で一人アニメを見ていた子どもたちに強烈な心理的インパクトを残しました。
3. 配信版・再放送における「EDカットとエンドカード直行」の不気味さ
現在、U-NEXTやAmazon Prime Videoなどの各種定額制動画配信サービス、あるいは地方局での再放送において、「本編が終わるとエンディングが完全に省略され、無音で『忍たま乱太郎ロゴと制作・著作NHK』のエンドカードが表示される」という仕様が存在します。
これは旧ジャニーズ事務所所属アーティスト等の楽曲に関する権利処理や契約上の制約に起因するものです。本編の賑やかな余韻が突如として断ち切られ、静寂とともに青いエンドカードが映し出される体験が、視聴者に「何か不穏なことが起きたのではないか」という心理的錯覚を与えている側面があります。