球界を見渡しても、石井大智投手が投じるボールの軌道は極めて特異です。打者の証言や現場のトラックマンデータによると、最大の武器である「高速シンカー」は一般的なツーシームやチェンジアップの枠組みを完全に超越しています。急速に失速しながら落ちるのではなく、140キロ台中盤のトップスピードを維持したまま、打者の手元でベース板をえぐるように鋭く斜め下へと変化します。対戦したセ・リーグの主力打者は「直球の軌道で視界に入ってきた瞬間、ボール1個分以上バットの下を潜り抜けていく」と舌を巻きます。
投球バイオメカニクスの観点からも、その投球フォームは高く評価されています。ショートアーム気味のコンパクトなテイクバックから、打者に球持ちの長さを感じさせるリリースポイントを確保。ストレートとシンカーのリリース角度や腕の振りが極限まで一致しているため、打者は打席内での判別が物理的に困難となります。いわゆる「ピッチトンネル」の概念を最も高い精度で体現している右腕のひとりです。
加えて、カウント球としても決め球としても機能するスラーブやフォークボールを効果的に織り交ぜることで、打者に狙い球を一切絞らせません。走者を背負った得点圏の場面でも奪三振を狙って奪えるピッチングスタイルこそが、首脳陣から絶大な信頼を勝ち得ている根拠となっています。