和食の味付けにおいて絶対的な指標とされる「さしすせそ」。まずはそれぞれの文字が指す調味料と、その名称の由来を整理しておきましょう。
「さ=砂糖」「し=塩」「す=酢」までは直感的に理解できますが、疑問を持たれやすいのが「せ」と「そ」です。「せ」は醤油の旧仮名遣いである「せうゆ(醤油)」の頭文字に由来しています。歴史的に醤油が「せうゆ」と表記されていた名残が、語呂合わせとして現代まで受け継がれました。そして「そ」は味噌の末尾の文字「そ」を取ったものです。調味料の名称を単に並べただけでなく、投入すべき工程順に綺麗に並べられている点が、この語録の優れた特徴です。
和食の伝統的な調理現場では、この5つの調味料の特性を把握することが見習い料理人の第一歩とされてきました。それぞれの基本特性は以下の通りです。
- さ(砂糖):甘味を付与するだけでなく、食材の保水性を高めて肉や魚を柔らかく仕上げる。
- し(塩):塩味をつけるとともに、浸透圧によって食材から余分な水分や臭みを引き出す。
- す(酢):酸味を加え、塩味をまろやかに整える。防腐・殺菌効果やタンパク質を凝固させる作用も持つ。
- せ(醤油):豊かな旨味と塩気、香ばしい風味(メイラード反応による芳香)を料理にプラスする。
- そ(味噌):大豆発酵由来の重厚なコクと特有の香りを与え、料理全体の味覚バランスを整える。