縄文時代と弥生時代の住居を比較した際、最も顕著な変遷は「形状の変化」と「生産活動との直結」にあります。狩猟・採集・漁労を主軸としていた縄文時代の竪穴住居は、平面プランが円形または楕円形のものが大半を占めていました。しかし、大陸から水稲耕作技術が伝来した弥生時代に入ると、住居の形は隅丸方形(角が丸い四角形)から直線的な方形・長方形へと劇的な変貌を遂げます。
この形状の変化は単なるデザインの流行ではありません。四角い間取りを採用することで、柱の配置が規格化され、室内の空間効率が飛躍的に向上しました。農具の補修や機織り、穀物の選別といった「室内での手作業」を効率化するために、居住空間のゾーニング(使い分け)が不可欠になった結果です。また、地面を掘り窪める深さにも違いが見られます。縄文時代の竪穴住居が50センチから1メートル近く深く掘り下げられていたのに対し、弥生時代後期に向かうにつれて掘り込みは20〜30センチ程度と浅くなり、やがて地面と同じ高さに床を設ける平地住居が併設される地域も増えていきました。