単なる手抜き入力と見なされがちな「ああああ」ですが、初期のファミコンソフトの内部解析が進んだ結果、驚くべきゲームシステム上の事実が明らかになっています。初代ドラクエにおけるああああ ステータスは、決して無作為に決められていたわけではありません。
当時のファミコンカセットは極めて限られたROM容量(初代ドラクエはわずか64KB)で作られていました。限られた容量でゲームの多様性を生み出すため、開発チームは「プレイヤーが入力した名前の文字コード」を算術演算し、主人公の初期能力値(ちから、すばやさ、最大HP、最大MP)およびレベルアップ時の成長タイプを4パターン(細分化すると16種類)に分類するロジックを組み込みました。「ああああ」と命名した場合、「ちから」と「最大HP」が優先して伸びる極めてタフな「戦士・武闘家タイプ」の成長曲線を引く仕様となっています。つまり、連打で適当に始めたプレイヤーは、期せずして物理攻撃に特化した前衛タイプの勇者で冒険を進めることになっていたのです。
一方、続編の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』におけるああああ 復活の呪文に関しても、ファンの間で数々の都市伝説が囁かれました。パスワード入力欄に「あ」を可能な限り敷き詰めた呪文を入力する試みが全国のプレイヤーによって行われましたが、ドラクエ2の復活の呪文には厳格なCRCチェックサム(誤り検出符号)が組み込まれていたため、すべて「あ」で埋めただけの呪文は原則としてエラーになります。しかし、文字列の末尾や特定箇所に計算が合致する文字をわずかに差し替えることで、「ああああ...」から始まる高レベルかつ奇妙な所持品を持った勇者が蘇る裏技が当時のゲーム雑誌や口コミで拡散され、少年たちの冒険心を大いに刺激しました。