「乳腺炎くらいで救急にかかっていいのだろうか」「夜中だが朝まで待つべきか」と迷う母親は少なくありません。しかし、重篤な細菌感染は短時間で組織を破壊し、最悪の場合は敗血症へと進行する危険性を孕んでいます。以下の受診目安を頭に入れておくことが重要です。
【即座に医療機関へ連絡・受診すべき危険な兆候】
- 38.5度以上の高熱と激しい悪寒戦慄が起きている
- 解熱鎮痛薬(ロキソニン等)を服用しても、熱が38度台から下がらず痛みが悪化している
- 乳房の一部分が真っ赤に腫れ上がり、触れられないほどの熱感と激痛がある
- 乳頭からドロッとした膿(黄色や緑色)や血液混じりの母乳が出ている
- 発熱と倦怠感が24時間以上継続し、水分摂取もままならない
受診先として「産婦人科」と「助産院(母乳外来)」のどちらを選ぶべきかという点についても、明確な基準が存在します。激しい悪寒、38.5度以上の発熱、強い発赤がある急性感染期においては、医師が常駐する「産婦人科」または総合病院の救急外来を最優先で選択してください。
助産院や母乳外来は、助産師による卓越した手技で乳管を開通させ、うっ滞を取り除くプロフェッショナルですが、医療法上、抗生物質の処方や点滴、外科的排膿を行うことはできません。細菌が繁殖している状態の乳房に過度なマッサージを加えると、かえって感染を周囲の組織に広げてしまうリスクすらあります。まずは産婦人科で医師の診察を受け、セフェム系やペニシリン系などの乳腺炎に適した抗生物質の処方を受け、炎症の火種を薬力学的に消火することが先決です。抗生剤の内服によって菌を叩き、急性期の熱と痛みが落ち着いた段階で、母乳外来にて残ったしこりや詰まりをケアしてもらうという連携が最も安全で確実な回復ルートです。