実家整理や遺品整理の現場において、昭和・平成期に蓄えられたタンス預金から「束になった福沢諭吉の旧札」が発見される事例が多発しています。遺品整理業者への聞き取り調査によると、仏壇の引き出し、押し入れの奥にある菓子缶、本棚の分厚い辞書の隙間などから、数十万〜数百万円単位の旧札が見つかるケースは決して珍しくありません。
こうした状況下で多くの家族が直面するのが、「新札に両替しないと使えなくなるのではないか」という高齢の親の強い不安感です。SNS上でも次のような生々しい投稿が散見されます。
「母が『ニュースで新紙幣になったと見たから、タンスにしまっていた福沢諭吉が紙屑になってしまう』とパニックになり、銀行へ駆け込もうとしていたのを慌てて止めた。」
「亡くなった祖父の書斎から福沢諭吉の旧1万円札が120万円分出てきた。銀行に持って行ったら窓口で手数料が取られると言われ、どう処理するのが正解かわからない。」
ここで多くの人が見落としがちなのが、金融機関の窓口における両替手数料の壁です。かつては無料で行えた銀行窓口での紙幣両替ですが、近年の手数料体系改定により、自行に口座を持たない場合や、一定枚数(多くの銀行で10枚〜50枚超)を超える両替には、1回あたり数百円から千数百円の手数料が課されます。
日本銀行の本支店窓口に持ち込めば、損傷度合いの鑑定も含めて「手数料無料」で現行紙幣に引き換えてもらえます。しかし、日銀の拠点は全国に32店舗しかなく、平日の限られた時間内に直接足を運ぶ手間を考慮すると、一般市民にとって決してアクセスが良い手段とは言えません。