オフェンスを展開するなかで、最も初歩的でありながら痛恨のミスとなるのが3秒バイオレーションです。このルールが適用される対象エリアは、一般に「ペイントエリア」や「キー」と呼ばれる制限区域(Restricted Area)です。コート上の長方形に色づけされたエリアであり、境界線そのものも制限区域の一部とみなされます。つまり、白線の上にシューズの先端がミリ単位でも触れていれば、選手は制限区域内にいると判定されます。
日本国内の公式戦で審判員を務めるライセンス保持者の証言によると、レフェリーはストップウォッチで機械的に計測しているわけではありません。審判はインサイドでポジション争いをする選手を視野に入れながら、心の中で「1001、1002、1003」と一定のリズム(メトロノームカウント)を刻んでいます。ボールがフロントコートで味方チームのコントロール下に入った瞬間からカウントが始まり、選手がエリア内に居座り続けたと判断された瞬間に笛が鳴ります。
反則が確定した際、審判はゲームクロックを止める合図のあと、腕を前方斜め下に向けて広げ、親指・人差し指・中指の3本の指をはっきりと示す審判合図を行います。バスケットボールのルール体系において、3秒違反はファウル(身体接触やスポーツマンシップに反する行為)ではなく、時間制限やラインアウトと同様の「バイオレーション」に分類されます。そのため、個人ファウルが累積することはありませんが、相手チームにスローインの権利が移行し、オフェンスの好機を無償で明け渡すことになります。