「処置の場に家族が立ち会うのは迷惑ではないか」「痛々しい姿を見るのが怖い」と躊躇する方は少なくありません。しかし、看護roo!やナース専科などの看護メディアが現場アンケートや認定看護師の知見として伝えている通り、現代の終末期医療現場では「家族の同席・立ち会い」が強く推奨されています。
かつては「処置中は病室の外でお待ちください」と家族を締め出すのが通例でした。しかし、閉ざされた部屋で何をされたのか分からないまま突然変わり果てた故人と対面することは、遺族に強い疎外感や疑念を抱かせ、死の受容を遅らせる要因になることが臨床心理学の観点からも実証されています。
現在では、看護師はケアの意図を丁寧に説明し、同意を得たうえで家族を迎え入れます。立ち会った家族全員がすべての医学的処置を見守る必要はありません。医療チューブを外す場面など心理的負担が大きいステップでは一時的に退室し、身体を拭く、髪をとかす、着せ替えを行うといった段階から参加することが可能です。
実際に遺族が自著や手記、ネットの体験談で語る声には、次のような生々しくも温かい実感が溢れています。
「母の手を温かいタオルで拭きながら『本当にお疲れ様でした』と声をかけたとき、初めて母の死を受け止める覚悟ができた」
「普段使っていた母の口紅を持参し、看護師さんに教わりながら自分の手で唇に塗った。最期に親孝行ができたと感じている」
愛する人の身体に触れ、温もりから徐々に冷たくなっていく変化を肌で感じること。これこそが、臨床心理学でいう「死の否認」から「受容」へと無理なく移行するための、最も本質的なグリーフケアなのです。