「皮膚科に行っても『ただのほくろ』と笑われるのではないか」「いきなり足をメスで切られるのではないか」という心理的抵抗から、受診を先延ばしにしてしまうケースは少なくありません。しかし、現代の皮膚科診療の現場は、患者の恐怖感を大幅に軽減する医療体制が確立されています。
診察室で最初に行われるのは、「ダーモスコピー検査」という非侵襲的(痛みを伴わない)画像診断です。ダーモスコープと呼ばれる、皮膚表面の乱反射を抑える特殊な偏光レンズとLEDライトを備えた拡大鏡を足の裏に直接当てるだけで、表皮から真皮浅層までの色素分布を数十倍に拡大して観察します。検査時間はわずか1〜2分程度であり、針を刺したり皮膚を切ったりすることは一切ありません。この検査により、前述の「平行皮溝パターン(良性)」か「平行皮丘パターン(悪性)」かが即座に判別され、熟練した専門医であれば90%以上の高い精度でその場で良悪性の見極めがつきます。
もしダーモスコピー検査で悪性の疑いが否定できない場合、あるいは整容面や引っかかりなどの日常生活上の不都合から切除を希望する場合、病変の一部または全体を切除して顕微鏡で調べる「生検(病理組織検査)」が行われます。足の裏のほくろ除去にかかる手術費用の目安は、保険適用(病理検査費用含む)の場合、3割負担で約7,000円〜15,000円前後が一般的な相場です(病変の直径や部位によって診療報酬点数が異なります)。
ただし、現場の臨床観察から見えてくる注意点もあります。足の裏は体重がかかるため、切除縫合手術を行った場合、抜糸までの約10〜14日間は患部を濡らせず、激しい歩行や運動が制限されます。「良性と分かって安心したものの、念のため取ってしまおうと安易に手術を受けたら、抜糸まで歩くのが想像以上に辛かった」という患者の手記や体験談も散見されます。ダーモスコピー検査で完全に良性と判定されたのであれば、無理に切除せず、定期的な経過観察にとどめるのが身体的・経済的負担を抑える賢明な選択と言えます。