12誘導心電図の貼り方と読み方完全解説|電極ズレの危険性と見極め

12誘導心電図の貼り方と読み方完全解説|電極ズレの危険性と見極め

12誘導心電図の貼り方と読み方完全解説|電極ズレの危険性と見極めの総合ガイドをお届けします。専門的な知識がチェックできます。

心電図を前にした際、闇雲に異常を探そうとすると重大な所見を見落とします。常に一定のチェック手順(ルーチン)を反復することが、判読速度と精度の向上につながります。

波形読影の5段階ルーチン

  1. 校正・スピードの確認:送り速度が25mm/sec、感度が10mm=1mVになっているか確認(方眼紙の1小マス=0.04秒・0.1mV)。
  2. リズム・調律の判定:各QRS波の前に一定間隔の正常なP波が存在するか(洞調律:Sinus Rhythmの確認)。
  3. 心拍数(HR)の算出:「300 ÷ R-R間隔の大マス数」で心拍数を概算(例:大マス4つ分なら心拍数75/分)。
  4. 各波形の時間・振幅のチェック:
    • P波:幅0.12秒未満(3小マス以内)、高さ0.25mV未満(2.5小マス以内)。
    • PQ(PR)間隔:0.12〜0.20秒(3〜5小マス)。延長していれば房室ブロック。
    • QRS幅:0.06〜0.10秒(約2.5小マス以内)。0.12秒以上の延長は脚ブロックや心室性調律を示唆。
    • QT時間:心拍数で補正したQTcが0.44〜0.46秒を超えるとQT延長症候群のリスク。
  5. ST-T部分の精査と局在同定:基線(PR部分)からのST上昇・低下の有無、陰性T波の確認。

心筋梗塞を告げるST変化の時系列と責任血管

冠動脈の急性閉塞による心筋梗塞(STEMI)では、発症直後から波形が劇的に推移します。超急性期(数分〜数十分)には巨大な「テント状T波(超高尖鋭T波)」が出現し、続いて「著明なST上昇(墓石型ST上昇:Tombstoning)」へ移行します。時間が経過すると壊死巣を反映する「異常Q波(幅0.04秒以上、またはR波の1/4以上の深さ)」が生じ、数日から数週間かけて「冠性T波(対称性の深い陰性T波)」へと変化していきます。

ST上昇が認められる誘導の組み合わせから、閉塞部位を即座に特定することが可能です。

  • 前壁中隔梗塞(LAD:左前下行動脈閉塞):V1〜V4誘導でのST上昇。広範前壁梗塞ではV5・V6やI・aVL誘導にまで及ぶ。
  • 下壁梗塞(RCA:右冠動脈、またはLCx閉塞):II、III、aVF誘導でのST上昇。対側変化(Reciprocal changes)としてIやaVL誘導でST低下が併発しやすい。
  • 側壁梗塞(LCx:左回旋枝閉塞):I、aVL、V5、V6誘導でのST上昇。
  • 後壁梗塞:通常誘導では直接捉えにくく、V1〜V3での「鏡像(ミラーイメージ)」として高いR波とST低下を呈するため、背部に電極を回すV7〜V9誘導の追加測定が推奨される。
林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。