『おしん』の物語は、山形の寒村に生まれた少女が、幾多の艱難辛苦を乗り越えて日本屈指の流通チェーンの創業者へと登り詰める波乱万丈の生涯を描いたものです。
しかし、単なる「富と成功を掴むサクセスストーリー」で終わらない点に、本作の真の深さがあります。最終回では、築き上げた事業や財産よりも、人間にとって本当に大切なものは何か、家族の絆や心の豊かさとは何かという根源的な問いが投げかけられます。過去を振り返り、自分の人生を肯定しながら静かに海を見つめるラストシーンは、物質的豊かさを追い求めた戦後日本のあり方に対する警鐘でもありました。