「病は気から」というフレーズの語源を遡ると、古代中国の伝統医学書『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』に記された東洋医学の思想に行き当たります。東洋医学において「気」とは、単なる気持ちやメンタルの強弱ではなく、体内を巡る生命エネルギーそのものを指していました。「気・血・水(き・けつ・すい)」のバランスが崩れると生命力が滞り、病気の発症につながるという考え方が基盤にあります。
日本においては、江戸時代のことわざ集などを通じて庶民の間にも定着しました。類語としては「気は心の持ちよう」「病は口より入り禍は口より出づ」などが挙げられ、精神状態や生活習慣の乱れが災いを引き寄せる戒めとして使われてきた経緯があります。
一方で対義語的な概念としては、「病は天命」「病は薬から」といった、個人の意識とは無関係に肉体や病原体の物理的要因を重視する考え方が存在します。「気持ち次第で病気配分が決まる」という極端な精神至上主義と誤解されやすい側面もありますが、本来の由来は「生命力の循環と心の安定が健康の土台である」という深い身体観に基づいているのです。