日本の競馬界において、競走馬の温泉治療には半世紀以上の歴史があります。その中核を担うのが、JRA競走馬総合研究所 常磐支所(通称:馬の温泉)です。福島県いわき市に位置する同施設は、屈腱炎や骨折、関節炎などを発症した数々の名馬たちを蘇らせてきました。
競走馬に対する温泉療法の主な医学的・物理的メリットは以下の通りです。
- 温熱作用による血行促進:患部の血流量を増やし、組織の修復を早めるとともに筋肉の緊張を緩和する。
- 水圧と浮力による負荷軽減:体重500kg前後の馬体を浮力で支えることで、患部の脚に余計な体重負荷をかけずに運動訓練(スイミング・水中歩行)を行える。
- 精神的リフレッシュ効果:レースの極限状態から解放され、副交感神経を優位にすることでストレス性疾患を予防する。
名馬トウカイテイオウやテンポイントなど、歴史に名を残す名馬がこの常磐支所で奇跡の復活劇を遂げた史実からも、日本独自の「馬の温泉文化」が競走馬の生命線を守ってきたことが分かります。