ネット上の情報では「ライフプランニングを受ければ将来の不安はすべて解消する」という無邪気な礼賛か、逆に「すべて保険や不動産を売りつけるための詐欺」という極端な陰謀論に偏りがちです。しかし、双方向の取材から見えてきたのは、双方が見落としている心理的な落とし穴です。
1つ目の盲点は、相談者自身が陥る「確証バイアス」と「不快な現実の否認」です。多くの人が「今の生活レベルを落とさず、老後資金も余裕を持たせたい」という非現実的な願望を抱いて相談所を訪れます。悪質な事業者はこの心理に巧みにつけ込み、現実的な支出削減法を提示する代わりに「毎月少しの投資で誰でも富裕層になれる」といった心地よいシミュレーションを描いてみせます。相談者自身が都合の良い甘い見通しを求めてしまう共犯関係が、結果として不誠実な業者を利することにつながっています。
2つ目の盲点は、ファイナンシャルプランナーやアドバイザーにすべてを委ねてしまう「他責思考」です。人生設計の主権者はあくまで自分自身であり、専属カウンセラーは客観的な計算機と地図を提供するナビゲーターに過ぎません。提示されたシミュレーションの「物価上昇率」「賃金上昇率」「公的年金のマクロ経済スライド率」といったパラメータを自ら確認せず、ただ結論の「老後黒字」という文字を信じ切ってしまう態度は極めて危険です。