「食べたスイカの種からでも実は収穫できる?」という長年の疑問に対する植物生理学的な回答は、「発芽して果実を収穫することは十分に可能だが、食べたスイカと同一の甘さと姿にはならない確率が高い」となります。このギャップを生み出している根拠が、現代の商業用スイカのほぼすべてに採用されている「F1(一代交配種)」の遺伝構造です。
スーパー等に並ぶ高級スイカは、病気に強く糖度の高い系統と、果汁が多く形状が整った系統を掛け合わせた雑種第一代(F1)です。F1品種の種子を採取して育てた第二代(F2)では、メンデルの分離の法則が働き、形質が激しくばらつきます。大手種苗メーカーの技術資料や栽培試験データを照らし合わせても、採取した種から育った果実は「皮が異様に厚くなる」「果肉がピンク色で甘みが薄い」「筋っぽくなる」といった野生種に近い形質が現れる傾向が確認されています。
さらに見過ごせないのが「土壌病害への耐性」です。ホームセンターや園芸店で販売されているスイカ苗の大半は、ユウガオやカボチャの根にスイカの芽を接いだ「接木(つぎき)苗」です。これは土壌に潜む難防除病害「つる割病」を防ぐための必須措置。自身の種からそのまま育てる実生(みしょう)栽培は、連作障害や土壌菌に対して無防備な状態となるため、土壌環境の管理が苗選び以上にシビアになる現実を認識しておく必要があります。