キリム(Kilim)という言葉は、トルコ語の「キリム(kilim)」に由来し、ペルシャ語では「ゲリム(gelim)」と呼ばれます。結論から言えば、キリムと絨毯の決定的な違いは「毛足(パイル)の有無」にあります。
私たちが一般に「ペルシャ絨毯」や「段通(だんつう)」と呼ぶものは、縦糸に羊毛などの糸を結びつけ、その先端を切り揃えることで作られる起毛(パイル)織物です。これに対し、キリムは平織りウールラグ(タペストリー織り)に分類されます。織り機に張った縦糸(経糸)に対して、横糸(緯糸)を隙間なくきつく打ち込み、縦糸を完全に覆い隠す技法で織り上げられます。そのため表面に毛足が一切なく、厚みはわずか数ミリ程度とフラットで非常に軽量です。
この平織り構造により、多くのキリムは表面と裏面の模様がほぼ同一となり、「両面使える(リバーシブル)」という実用的な強みを生み出しています。毛足の奥に砂利や埃が入り込まないため日々の掃除機がけが容易で、季節を問わずさらりとした肌触りを保てる点も、湿潤な日本の気候に適している理由です。
しばしば混同される「ギャッベ」も同じくイラン南西部の遊牧民(カシュガイ族など)が手織りする伝統工芸ですが、ギャッベは毛足が20ミリ前後と極めて長く、ふっくらとした踏み心地を重視した敷物です。一方のキリムは、テント内の間仕切り、穀物を運ぶ貯蔵袋、あるいは毛布として過酷な移動生活を支えてきた歴史があるため、薄手で頑丈な設計が優先されてきました。