毎年12月、清水の舞台で繰り広げられる揮毫の瞬間。日本漢字能力検定協会が主催する「今年の漢字」は、日本人のその年の世相と感情を象徴する風物詩として定着している。縦1.5メートル、横1.3メートルの特大の越前和紙に向かい、森清範貫主が全身全霊を込めて巨大な筆を走らせる姿は、圧巻の一言に尽きる。
単なるイベントとしての話題性を超え、一文字の漢字に込められるのは、社会の安寧と平穏への切なる祈りだ。流麗でありながら力強い筆致は、選ばれた文字が持つ歓喜や悲哀、そして希望をそのまま体現する。筆を置いた瞬間に漂う緊張感と静寂。そこには、言葉を通じて社会と向き合う宗教者としての揺るぎない覚悟が漲っている。