メンバー個々の資質に問題がないにもかかわらず、なぜ組織は破滅的な選択肢に飛びついてしまうのでしょうか。ジャニスの研究およびその後の組織心理学では、発症の引き金となる3つの主要な原因が特定されています。
第一に挙げられるのが、「過度な集団凝集性と閉鎖性」です。チームへの愛着や仲間意識が強すぎると、外部からの客観的な指摘を「部外者の雑音」として排斥し始めます。内輪だけの論理に閉じこもり、「私たち優秀な仲間が導き出した結論なのだから正しい」という傲慢な確信が生まれます。
第二は、「リーダーの専横と構造的欠陥」です。強力な権限を持つリーダーが議論の冒頭で自らの意向を明言してしまうと、部下は無意識にその意図に沿った情報や賛同意見ばかりを集めるようになります。公平な議論のルールや、異論を受け止める組織的手続きが欠如している場合、この傾向は一層加速します。
第三は、「極度のストレスと時間的プレッシャー」です。競合の猛追や差し迫った納期、業績悪化といった危機的状況に直面すると、人間は心理的苦痛から逃れるために「早く合意して安心したい」という欲求を強めます。代替案を徹底的に比較検討する労力を惜しみ、安易な全会一致へ逃避してしまうのです。