すべてのガス燃焼器具の原点とも言えるのが、中学校や高校の授業で習得する理科実験におけるガスバーナーの手順です。現代のトーチバーナーは空気吸入口が固定設計されているものが多い一方、理科実験用バーナーは燃料ガスと酸素(空気)の混合比率を手動で緻密にコントロールする構造を持っています。この原理を体得しておくことは、あらゆるガス器具の安全制御において一生モノの基礎知識となります。
理科用バーナーの台座上部には、同軸上に2つのねじが配置されています。下段にあるのが燃料供給量を決める「ガス調節ねじ」、上段にあるのが空気を取り込む量を決める「空気調節ねじ」です。操作にあたっては、以下の基本シーケンスを忠実に遂行しなければなりません。
1. 操作開始前に、上下両方のねじが時計回りに回されて「完全に閉まっている」ことを指先で確認します。
2. 元栓(コック)およびゴム管の安全弁を全開にします。
3. マッチの炎を火口の斜め下で擦り、火種を準備した状態を作ります。
4. 下のガス調節ねじだけを反時計回りにゆっくり開き、点火します。この段階では空気を取り込んでいないため、不完全燃焼による赤黄色くゆらゆらした炎が立ち上がります。
5. 次に下のガス調節ねじを片手でしっかり押さえ、固定した状態を保ちながら、上の空気調節ねじを反時計回りに少しずつ開いていきます。空気が混ざり合うにつれて炎の赤みが消え、内部に濃い青の三角錐(内炎)を持つ透明感のある安定した青い炎へと変化します。
6. 内炎と外炎の輪郭が明瞭になり、「ゴー」という小さな燃焼音が響く状態が、約1,000度以上の最も効率的な完全燃焼状態です。
消火の際は、点火と完全に逆の順序を辿ります。下のガス調節ねじを固定しながら上の空気調節ねじを時計回りに回して完全に閉じ、続いて下のガス調節ねじを閉じて炎を消します。最後にガスの元栓を閉め、ゴム管内の残留ガスを安全に遮断します。空気を送ったまま先にガスを絞ると、炎がバーナーの筒内部へと逆流して燃え移る「逆火(ぎゃっか)」と呼ばれる危険な現象を引き起こすため、ねじを回す順序の厳守は絶対の規則です。