「有名税だから何を言われても仕方がない」「顔を出して稼いでいるのだから叩かれるのは自己責任だ」――こうした言説は、かつての掲示板やSNSで広く蔓延していました。しかし、現代の司法およびプラットフォーム規制において、この「有名税論脈」は完全に崩壊しています。
近年、著名人のネット誹謗中傷対策はかつてないスピードで進化しました。情報流通プラットフォーム対処法(旧プロバイダ責任制限法の改正枠組み)の運用本格化に伴い、違法投稿の削除要請手続きの迅速化や、発信者情報開示請求にかかる期間の大幅な短縮が実現しています。さらに侮辱罪の法定刑引き上げ(拘留・科料から1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金へ)以降、悪質な投稿者に対しては刑事告訴と民事賠償の双方が厳格に適用される事例が定着しました。
大手事務所に所属するタレントの手記や法廷証言でも、「公の場で見せる笑顔の裏で、自宅の特定や家族への脅迫に怯え続けていた」という痛烈な告白が相次いでいます。批判や言論の自由は著名人の公的活動に対して担保されるべきものですが、人格権を否定する侮辱や虚偽事実の流布、プライベートの盗撮行為は明白な不法行為であり、著名人であっても何ら甘受する筋合いはありません。