玉川奈々福の経歴における最大の特異点は、浪曲の伴奏を務める「曲師」としてキャリアをスタートさせた点です。1995年に名匠・玉川福太郎に入門し、まずは三味線弾きとして師匠の過酷な舞台を支え続けました。その後、師の勧めで2001年に浪曲師としても名乗りを上げ、語り手と伴奏者の双方を最高峰のレベルで理解する稀有な存在へと成長を遂げます。
その功績は業界内外で高く評価され、2019年には優れた芸術活動に贈られる「第69回芸術選奨文部科学大臣新人賞」を受賞しました。さらに文化庁文化交流使として海外公演も成功させるなど、浪曲の持つ普遍的な魅力を国境を越えて届けてきました。三味線の呼吸を知り尽くしているからこそ生まれる、間(ま)の完璧なコントロールは玄人筋をもうならせています。