映画監督・是枝裕和が手掛けた2004年公開の映画『誰も知らない』。巣鴨子供置き去り事件をモチーフにした本作の主役・福島明役を選定するオーディション会場に現れたのが、当時12歳の柳楽優弥でした。
是枝監督は当時の様子について、「部屋に入ってきた瞬間、目に強い印象があって彼しかいないと直感した」と語っています。演技経験は皆無でしたが、彫りの深い顔立ちと、どこか憂いを帯びた真っ直ぐな瞳、そして圧倒的な透明感は、スタッフ全員を一瞬で魅了しました。
撮影当時の中学生の姿を収めた画像や映像は、今なおファンの間で「神がかり的な美少年」として語り継がれています。是枝監督は子役たちに台本を一切渡さず、現場で口頭で状況を伝えて感情を引き出す手法を採用しました。作り込まれた演技ではなく、柳楽優弥という少年の素の表情と強烈な目力がそのままフィルムに焼き付けられたことが、世界中を驚かせる奇跡の映像表現へと結実したのです。