独裁者の歴史をポピュラーカルチャーの中で再解釈する試みは、ネット空間に限った話ではない。かつて世界的ヒットを記録した風刺映画『帰ってきたヒトラー』は、現代のベルリンに突然蘇った独裁者が、持ち前の演説力とメディア適応力で瞬く間に人気タレントへと上り詰めていく姿を描き、世界中に強い衝撃を与えた。
同作をはじめとする現代の映画産業は、彼を単なる「過去の悪魔」として絶対化するのではなく、人間の滑稽さや大衆心理の危うさを映し出す鏡として描写してきた。かつて画家を目指した男の挫折と自尊心は、フィクションの世界においても重要なキャラクター造形要素となっている。笑いと恐怖が隣り合わせとなった演出手法は、現代のミームカルチャーとも強く共鳴しているのだ。