襲撃事件の混乱と熱狂冷めやらぬまま開幕したリレハンメル1994冬季オリンピック。奇跡的な回復を見せたケリガンと、容疑の渦中にいたハーディングが同じ氷上に立つという異例の事態に、世界中のメディアが集結した。連日張り付くパパラッチの群れ、過熱する報道。もはやそこは純粋なスポーツの場ではなく、人間ドラマの劇場と化していた。
結果はケリガンが銀メダルを獲得した一方、ハーディングは本番で靴紐が切れるトラブルに見舞われ、涙ながらに演技のやり直しを求めた末に8位に沈んだ。大会後、司法取引に応じて陰謀隠蔽を認めた彼女に対し、全米フィギュアスケート協会は永久追放処分を下し、全米タイトルの剥奪を決定。国際オリンピック委員会も厳しい姿勢を崩さず、彼女の栄光は完全に打ち砕かれた。