新聞の現場において、誤報は単なる不注意からだけで発生するわけではない。組織の風土や「正義感の暴走」が、確認作業を鈍らせるケースが少なくないのだ。
取材現場では、時に「社会的に意義のあるスクープをいち早く出したい」という強烈なプレッシャーが働く。しかし、先んじることへの焦りが客観的な検証を置き去りにした時、危険な陥穠が生まれる。事実の確認よりもストーリーの整合性が優先され、疑問を呈する内部の声が打ち消されてしまう構造だ。
また、編集権を持つデスクと、現場で取材する記者の間の心理的距離も要因の一つに挙げられる。決定権を持つ側が特定のストーリーを期待すると、現場側はそれに合致する情報ばかりを集めてしまいがちになる。いわゆる確証バイアスが組織ぐるみで生じていた点が、誤報の根底に潜む暗部であった。