栗田ゆう子の真骨頂は、オフィシャルな職場環境とプライベート空間の落差にある。東西新聞社の「究極のメニュー」担当としてスーツを端正に着こなす彼女が、ふとした瞬間に見せる無防備な佇まい。このギャップに惹き込まれない読者はいない。
相棒である山岡士郎との関係性も絶妙だ。単なる同僚から、やがて人生を共にする伴侶へと至るまでの長い歳月。言葉にできないもどかしい感情が視線や仕草に滲み出る瞬間、彼女の女性としての魅力は最高潮に達する。鋭い舌鋒で相手を論破する山岡が、彼女の笑顔や涙にだけは調子を狂わせる構図は、本作の人間ドラマを豊かに彩る核となっていた。