「注ぐ湯の温度は92度。粉の中心へ細く静かに落としていく」。現場で日々カウンターに立つ実力派バリスタはそう明かす。粒度の揃ったグラインドと注湯スピードの均一化こそが、過度なエグみを抑えて芳醇な甘みを引き出す最大のポイントだ。
ペーパーフィルターのリンス(湯通し)から始まり、粉全体を湿らせて炭酸ガスを放出させる蒸らしの30秒間。そこから3回に分けてリズミカルに湯を落としていく。ハンドドリップというシンプルな器具の中に、驚くほど緻密なロジックが詰まっている。基本のルールをわずかに意識するだけで、自宅のキッチンで淹れる一杯がプロのクオリティへと変貌を遂げる。