インターネット上の考察コミュニティやSNSで頻繁に見受けられる典型的な誤解が、「八握剣(やつかのつるぎ)」と「十握剣(とつかのつるぎ)」の混同です。
十握剣(十拳剣)は、スサノオノミコトがヤマタノオロチを討ち取った際に使用した「天羽々斬(あめのはばきり)」や、神武東征で活躍した「布都御魂(ふつのみたま)」など、日本神話の数々の場面に登場する別の刀剣群を指します。長さも十握(約80cm前後)と八握より一回り長く、神話体系における伝承ルートも異なります。
『呪術廻戦』における魔虚羅は、あくまで十種神宝の「八握剣」をモチーフにしており、オロチ退治の神話とは直接リンクしていません。また、名前の後半部「魔虚羅(まこら)」は、仏教において薬師如来を守護する薬師十二神将の「摩虎羅大将(まこらたいしょう)」に由来しています。
つまり、魔虚羅という存在は「神道の至宝(十種神宝・八握剣)」と「仏教の守護神(十二神将・摩虎羅)」が融合した、重層的な神仏習合モンスターとして構築されているのが実態です。この背景を理解しておくことで、作品のディテールをより深く味わうことができます。