2000年7月19日に発行が開始された際、当時の小渕恵三首相の強い主導のもとで華々しくデビューした二千円紙幣。しかし、ピーク時の2004年頃を境に市中での見かける頻度は急速に激減しました。二千円札の発行停止の経緯をたどると、財務省と日本銀行は2003年度末までに約8億8,000万枚を製造したものの、需要の大幅な低迷を受けて以降の追加増刷を凍結しています。
本土で普及しなかった最大の要因は、二千円紙幣が自販機で使えない理由にも直結する「インフラ側のコスト負担」と「心理的抵抗」です。自動販売機、駅の券売機、銀行ATM、店舗のレジ釣銭機などを二千円札対応に改修するには多額の改修費用が必要でした。特に個人商店や中小ベンダーは対応を見送り、受け入れ体制が整わないまま流通が滞る負のスパイラルに陥ったのです。
さらに、行動経済学の観点からも日本の「1・5」体系(1円、5円、10円、50円、100円、500円、1000円、5000円、1万円)に慣れ親しんだ国民にとって、「2」で割り振る計算は釣銭計算の認知的負荷を高めました。レジで二千円札を出すと店員が一瞬戸惑う、レジの金種トレイに専用の仕切りがないといった日常の小さな摩擦が積み重なり、人々は次第に二千円札を敬遠していきました。