国宝・旧開智学校の謎と真価|耐震リニューアル後の見どころ徹底解剖

国宝・旧開智学校の謎と真価|耐震リニューアル後の見どころ徹底解剖

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日本全国に数ある歴史的建造物の中で、国宝に指定されているものの多くは神社仏閣や城郭です。そうした中、2019年(令和元年)10月に近代学校建築として史上初となる国宝指定を受けた旧開智学校は、文化財行政の歴史においても極めて画期的な転換点となりました。

文化庁や松本市教育委員会の公表資料によると、旧開智学校が国宝に選ばれた決定的な理由は「文明開化期の擬洋風学校建築としての完成度の高さ」と「日本の近代教育黎明期を物語る歴史的価値」の2点に集約されます。

設計・施工を手掛けたのは、地元松本の大工棟梁である立石清重(たていし せいじゅう)です。立石は東京の開成学校や横浜の異人館などを視察して西洋建築の意匠を学び、伝統的な日本の木造建築技術と融合させました。外観中央にそびえる八角塔屋、和風の唐破風(からはふ)屋根、そしてその上に舞い降りた二匹の天使(エンジェル)が「開智学校」の扁額を掲げるデザインは、まさに和洋折衷の極みです。

さらに特筆すべきは、建設資金の約7割が当時の松本町民による寄付金で賄われたという史実です。貧しい農民や町民が「我が子に最高の教育環境を与えたい」と身銭を削って創り上げた学び舎であり、単なる建築美にとどまらず、地域住民の教育への強い信念が宿るモニュメントとして高く評価されたのです。

山崎 陸
著者

山崎 陸

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。