編集部が取材した元裏垢運営者の女性(24歳・会社員)は、過去の苦い経験をこう語ります。「最初は顔を隠して日常の愚痴やちょっとした肌見せ写真を載せていただけでした。でも、フォロワーが増えるにつれて『もっと過激なものが見たい』とおだてられ、感覚が麻痺していったんです。ある日、送った個別の写真が掲示板に転載され、勤務先まで特定されそうになってアカウントを即座に消しました」。
裏垢を取り巻く環境において、最も破壊的なリスクが「晒し(個人情報の暴露)」と「デジタルタトゥー」です。ネット上には「特定班」と呼ばれる悪質なユーザー層が存在し、投稿された写真の断片情報から本人の身元を割り出す行為をゲーム感覚で行っています。
警察庁やサイバー犯罪相談窓口に寄せられる被害事例では、以下のような深刻なケースが後を絶ちません。
親密になったフォロワーにだけ送った限定写真が、関係の悪化を機に5ちゃんねるやまとめサイトへ流出する「リベンジポルノ被害」。PayPay等の送金やり取りから本名口座やアカウント名が割れ、家族や学校・勤務先へ告発メールが送られる「社会的信用失墜」。さらには、「情報をバラされたくなければ言うことを聞け」と性的な要求や金銭を要求される「セクストーション(性的脅迫)」へと発展する事例も報告されています。
一度ネット上に流出した画像や個人情報を完全に消去することは極めて困難であり、数年後の就職、昇進、結婚などのライフイベントにおいて重大な障壁となる現実を直視する必要があります。