物語の全編を通じて視聴者を翻弄し続けた連続児童失踪事件、通称「ハーメルン事件」。黄色いカーネーションを残して子どもたちが忽然と姿を消す不気味な手口から、当初はタワマンの監視カメラをハッキングしていた佐々木弓子に疑いの目が向けられていました。しかし、最終回で明かされたハーメルン事件の真犯人は生方航平(岩田剛典)でした。
生方は主人公・高野亜紀(菅野美穂)の幼馴染であり、タワマン内の体操教室で子どもたちから絶大な信頼を集める好青年でした。そんな彼がなぜ、無邪気な子どもたちを連れ去る凶行に及んだのか。その根底には、彼自身の過酷な生い立ちと母親に対する根深い愛憎が存在していました。
生方の実母はかつて認知症を患い、幼い彼をネグレクト(育児放棄)していました。母親から顧みられず孤独に苛まれた記憶は、大人になった彼の精神を深く蝕んでいたのです。体操教室のインストラクターとしてタワマンの母親たちと接する中で、生方は「子どもを放置して不倫に走る母親」「見栄や世間体のために子どもを道具にする母親」を目の当たりにします。
生方は、かつての自分と同じように親の身勝手なエゴで放置されている子どもたちを救い出し、「愚かな母親たちに罰を与える」という歪んだ正義感から誘拐を繰り返していました。連れ去られた子どもたちに危害を加えることはなく、山奥のログハウスなどで手厚く世話をしていた点も、彼の犯行の異質さを際立たせています。